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Cord:realize 全ルート感想 ネタバレ有り

まず言いたいことは、乙女ゲームが好きならばCord:realizeは絶対にプレイするべきソフトだということである。シナリオが良い。音楽が良い。この1本で全てが完成している点がなにより魅力的だった。各ルートに散りばめられた伏線をしっかり隠しキャラルートで回収していく、その広げた風呂敷をするすると滞りなく畳む手際は見事としか言いようがない。

わたしが乙女ゲームを購入する際の基準というのが第一にストーリーの良し悪しなのだが、この乙女ゲームは本当に素晴らしかった。以前プレイした中で好きな乙女ゲームを挙げると、CLOCK ZERO、AMNESIA、Black Wolves Saga、夏空のモノローグなどがあるから、興味のある方はぜひそちらもプレイしてほしい。

ちなみに主人公のデフォルトネームはカルディアなのだが、変更せずにプレイするとキャラが名前を呼んでくれるのでとてもおすすめしたい。

 

以下、攻略順に感想。はじめの3人は3月頃にプレイしてから、いまこれを書いているため間違っている部分があるかもしれない。

 

▽インピー(cv.森久保祥太郎)

なにが凄いってどのルートへいってもインピーの場を和ませるパワーが損なわれていないところである。彼を一番はじめに選んだのは、わたしの歴代好きなキャラクターの中に、彼のような、おちゃらけ・にぎやかしキャラが少なかったからだ。それからCord:realizeの購入を検討していたときに別の方のレビューを読み、そこにインピーが他のキャラよりもハッピーな気持ちになれると書かれていたのも一因である。わたしはハッピーエンドよりも、切なかったりメリーバッドエンドだったりが好きだから、フルコンプするにあたりはじめに片付けてしまおうと思ったわけである。

結論。インピーまじ天使。これに尽きる。はじまりから終わりまで、インピーとならしあわせな時間を過ごせる。笑顔伝播人間インピー、またの名をシリアスクラッシャーともいう。カルディア自身、なかなか壮絶な運命を背負っていて彼女を巡って度々陰鬱なシーンが描かれるのだが、そのシーンが重たくなりすぎないためにインピーが生まれたのではないかと言っても過言ではないほどである。

わたしが好きなのは研究所に潜入してフィーニス(カルディアのことを姉さんと呼び、捕まえようとしてくる男の子)と対面する場面。完全な個別ルートに入る9章まではカルディアは誰とも想いは通じていないのだが、共通ルート内に反映される個別シーンのインピー。

インピー「俺の彼女に手を出すな!」

カルディア「彼女になった覚えはない」

インピー「俺の彼女になる予定の子に手を出すな!」

カルディア「今のところその予定もない」

うろ覚えだがこんな感じのやりとりをしていて(カルディアを捉えようとしているフィーニスの前で)、インピー最高!!!かわいい!!!好き!!!!とならないわけがなかった……。

トゥルーエンドではいちゃいちゃする二人を思う存分堪能できるし、ノーマルエンドではインピーが(恐らく)死んでしまった世界で力強く生きていこうと決意するカルディアの姿を拝める。

Cord:realizeが好きな理由をもうひとつ挙げるとしたら、このトゥルーエンドとノーマルエンドの落差だ。片や壮絶な試練をふたりで乗り越えて幸せな生活を営むエンディング、片やどちらかが欠けてしまった世界で一歩を踏み出すエンディングとなっていて、捉えようによってはノーマルエンドはバッドエンドなのだ。ただ普通のバッドエンドもいくつか用意されていて、そちらにはノーマルエンドにあるような僅かな希望すらない。はあ、たまらない。(ただのバッドエンド厨)

下に書くヴァンは、エンディングに近付くにつれとても重たいストーリー展開になるため、はじめにヴァンを片付けてから糖分補給としてインピーをプレイするのも良いと思う。

 

▽ヴァン(cv.諏訪部順一)

CVとそのキャラクター性で、なんど某運命作品にでてくる正義の味方だと空目?空耳?したことか!わたしが一番好きだったシナリオは彼のものだった。はじめは敵として登場するものの、仲間になって徐々にカルディアに見せるデレと通常時の冷静で皮肉屋な部分とのギャップにやられた。こいつはずるかった。たしか4枚目か5枚目のスチルで夜空を背景にこちらを見据えるヴァンのものがあるのだが、このスチルの際のストーリーがとても好きで何度も読み直して泣いた。「俺がいつ仲間になった?」とか言っちゃうヴァンが愛おしい。そのスチルの苦しげな表情でそんな否定的なこと言われても絶対に信用なんてするものか!!!!ほんとは仲間だって認めてるんでしょう!!!知ってる!!!!

ヴァンのストーリー展開が好みだったのは、そういう展開を多数嗜んできたからか、途中からなんとなく先が読めてしまったからかもしれない。ヴァンは共通ルートでもハードな過去と一悶着あるのだが、個別ルートに入った瞬間にそのハードさが目に見える速度で加速するのである。「こういうことなのかな、でもそうであって欲しくない」というストーリーをひたすらなぞっていくヴァン。涙で画面が見えない。

カルディアが危機的状況に陥ったときに助けるタイミングもまさに正義の味方。あなたの登場を待ってました!!と全力で喜んだ覚えがある。王道をいくからこそ胸にくるものが多くあった。

 

▽フラン(cv.柿原徹也)

声と見た目がめちゃくちゃ好みなフラン。バックボーンからビジュアル、ボイスまで何もかもが好き。SUKI。天才錬金術士で、過去に開発した毒ガスにより大量虐殺を生み出してしまい、その過去と決別したい優しいひと。あの綺麗な立ち絵でフランにやさしい言葉を掛けられて好きにならないひとがいるだろうか、いやいない(反語)。

カルディアの身体の毒を唯一自力で治してしまう凄い頭脳を持っている。そしてその結果誰よりもはやくカルディアとキスをする(たしか)。フランとカルディアがおでこを突き合わせて微笑みあっているスチルの威力は凄まじかった。フランは共通ルートでエリザベス女王との対決(キャットファイト)があるのだが、この場面はいつも柔らかい笑顔で話し掛けてくれるフランが苛烈に女王に立ち向かう姿を見ることが出来てとても幸せだった。錬金術(≒科学者)だからといって戦闘が出来ないわけではなくて、催涙ガスや睡眠ガスなど多種多様な色の試験管を両手に敵とやりあうシーンも注目したい。

 

▽サン(cv.平川大輔)

全ての全容が明らかになって、物語りの根幹に深く関わるようなストーリー展開だった。彼を最後にもってきて良かったと思う。他ルートでいまいち何をやっているのか掴めなかったサンだけれど、アイザックのことや世界のことについてするすると紐解かれていくのはプレイしていて新たな発見があって面白かった。それからサンの泣き顔!あと個別ルート入るまでずっとサンは糸目キャラだと思ってたのに!!!個別ルート入った瞬間糸目じゃなくなる!!!サン!!!!好き!!!!!平川さんの甘く諭すようなボイスと相まって色気が半端なかった。

 

▽ルパン(cv.前野智昭)

怪盗紳士、最高。この一言に尽きる。カルディアとルパンはあの屋敷で出逢ったときから結ばれる運命だったんだなあとしみじみ思う。全てのルートを攻略してからのルート解放キャラなだけあって、美味しい要素全部詰め込みました!Cord:realizeはルパンのためにあるような物語です!といっても過言じゃないと思う。要素を全て詰めたからといってシナリオが雑なわけじゃなくむしろキッチリ伏線回収していて、ルパンルートが終わって振り返ってみると本当に素晴らしい乙女ゲームだったなあと思えるようなものになっていた。

 

 

最後に近付くにつれて感想量が減っているのは自分でも笑うけれど今回はここまで!次は剣が君 for Vをやろうと思ってます〜!

ちなみにCord:realizeの個人的におすすめな攻略順は最後にサンをもってくること!あとの3人は糖度が高いキャラから順に、インピー、フラン、ヴァンだと思っているので、そこを考慮しつつって感じかなあ。

 

剣が君やるぞーーーー!